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ニッケル

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ニッケル
nickel
元素記号 Ni ,原子番号 28,原子量 58.6934。周期表 10族,ニッケル族元素の1つ。主鉱石は硫化鉱と酸化鉱で,ペントランダイト,ガーニーライトが主要なものである。地殻中の平均存在量は 75ppm,海水中の含有量は5 μg/l 。 1751年スウェーデンの鉱物学者 A.クローンステッドによって発見された。単体は銀白色の金属で,融点 1455℃,比重 8.845。展延性に富み,鍛造,鍛接が可能。強磁性体。空気中で安定。2価の陽イオンとして酸に溶解。ステンレス鋼磁性合金としての需要が多く,また銅-ニッケル合金ニクロム合金,メッキ用,貨幣用,化学薬品として用いられる。

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朝日新聞掲載「キーワード」

ニッケル
特殊鋼、めっき、電池などに使われる。クロムと一緒に鉄に加えると耐熱性耐食性に優れたステンレスができる。鉄、銅、アルミと比べて取引価格は高い。鉱石の主要な生産国は、ロシアカナダオーストラリアなど。
(2012-03-08 朝日新聞 朝刊 1社会)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

ニッケル(nickel)
鉄族元素の一。主要鉱石は珪(けい)ニッケル鉱・紅砒(こうひ)ニッケル鉱などで、隕石中に含まれることもある。単体は銀白色で光沢があり、展延性に富み、強磁性を示す。空気・水・アルコールなどに侵されず、合金・めっき・貨幣材料などに利用。元素記号Ni 原子番号28。原子量58.69。
(米国・カナダなどの)5セント硬貨。

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栄養・生化学辞典

ニッケル
 原子番号28,原子量58.69,元素記号Ni,10族(旧VIII族)の元素.必須元素で,アルギナーゼなどいくつかの酵素を活性化する.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

ニッケル【nickel】
周期表元素記号=Ni 原子番号=28原子量=58.69地殻中の存在度=75ppm(22位)安定核種存在比 58Ni=67.76%,60Ni=26.16%,61Ni=1.25%,62Ni=3.66%,64Ni=1.16%融点=1455℃ 沸点=2732℃比重=8.845(25℃)電子配置=[Ar]3d84s2 おもな酸化数=II,III鉄およびコバルトとともに周期表第VIII族第4周期,鉄族に属する金属元素。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ニッケル【nickel】
10 族(鉄族)に属する遷移元素の一。元素記号 Ni  原子番号28。原子量58.69。銀白色の強磁性固体金属。比重8.90(摂氏25度)。針ニッケル鉱・ケイニッケル鉱・ヒニッケル鉱などが主鉱石。隕石中にも存在する。地球の中心部はニッケルと鉄の合金が主体となっていると考えられている。合金成分・触媒として用途が広い。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

ニッケル
にっける
nickel
周期表第10族に属し、鉄族元素の一つ。[鳥居泰男]

歴史

ニッケルの合金は、2000年以上も前に中国で知られていたが、金属として単離されたのは200年ほど前のことにすぎない。17世紀末ごろ、ドイツでは紅砒(こうひ)ニッケル鉱NiAsをガラスの緑色着色材として用いていた。当時これは銅の鉱石と信じられていたが、どうしても銅を単離することができなかったので、「Kupfernickel」(Old Nick's copperすなわち悪魔の銅)とよばれるようになった。1751年、スウェーデンのクローンステッドAxel Fredric Cronstedt(1722―65)は、ヘルシングランドのコバルト鉱山から採集した新鉱石を研究中、その風化した表面を覆っていた緑色の結晶から、銅とは異なる、白色の硬くてもろい金属を単離した。彼はこの新金属がKupfernickelの主要成分でもあることを明らかにし、ニッケルの名を与えることを提案した。純粋なニッケル試料は、同国のT・O・ベリマンによって1775年に初めてつくられ、その後ドイツのJ・B・リヒターらによって物理的性質が報告された。[鳥居泰男]

存在

地殻中の存在量は銅と同程度であるが、地球の中心部では鉄とともにかなりの量が存在するものと推定される。ニッケル固有の鉱物は硫黄(いおう)、ヒ素、アンチモンの化合物で、おもなものに針ニッケル鉱NiS、紅砒ニッケル鉱、安ニッケル鉱NiSb、砒ニッケル鉱NiAs2、硫砒ニッケル鉱NiAsS、硫安ニッケル鉱NiSbSなどがある。しかし工業的資源としては、風化によって二次的に生成した珪(けい)ニッケル鉱(Ni,Mg)6Si4O10(OH)8や硫鉄ニッケル鉱(Ni,Fe)9S8などのほうが重要である。前者はマグネシウムとニッケルの含水ケイ酸塩鉱物で、ニュー・カレドニア島、アメリカのノース・カロライナ州やオレゴン州に産出する。後者は鉄との混合硫化物で、磁硫鉄鉱、黄銅鉱あるいは白金属の鉱石などと混在して産出する。カナダのオンタリオ州にはこの型の、世界最大級の鉱床がある。世界の埋蔵量はNi純分で1億トン程度であるが、日本には採取に値する鉱床はほとんど存在しない。なお、ニッケルは隕石(いんせき)中に鉄およびコバルトとの合金として含まれていることがある。[鳥居泰男]

製法

ニッケルの製錬法は鉱石の種類や品位によってさまざまであるが、一般に、原料が硫化鉱の場合には、精鉱はそのまま、硫黄含有量の多いものは不完全焙焼(ばいしょう)によって硫黄を減らしたのち、融剤(石灰石、珪石など)を加え、溶鉱炉、反射炉、自溶炉などで融解する。原料が珪酸塩鉱の場合には硫化剤(石膏(せっこう)、芒硝(ぼうしょう)など)を加えて同様の処理をする。ニッケルは硫化物((かわ)、マットともいう)に、また鉄その他の不純物はケイ酸塩(スラグ)となり、比重の差によって分離される。このようにして得た硫化ニッケルを焼いて酸化ニッケルとし、これを反射炉で炭素で還元するか、または水性ガスで還元して粗ニッケルとする。粗ニッケルを陽極とし、ステンレス鋼を陰極として電解すると、純度99.0~99.5%のニッケルが得られる。また、粗ニッケルに40~90℃で一酸化炭素を通じて揮発性(沸点42.3℃)のテトラカルボニルニッケルNi(CO)4に変え、これを200℃近辺で熱分解すると、純度99.90~99.99%のものが得られる(モンド法)。[鳥居泰男]

性質

ニッケルは光沢のある銀白色の金属で展性、延性に富み、鉄と同様に鍛造ができる。通常の結晶(β(ベータ)型)は立方最密充填(じゅうてん)型の構造をとり、357℃以下で強磁性を示す。ただしその程度は鉄よりは弱い。常温において、銀に比べ14~15%程度の電気伝導率と熱伝導率をもっている。六方最密充填型の結晶(α(アルファ)型)も知られているが、これは強磁性ではない。ニッケルは緻密(ちみつ)な金属状態では、常温で空気あるいは水にきわめて侵されにくいため、保護膜として電気めっきに用いられる。粉末状では、空気に対して反応性が著しく、ときには自然発火することもある。希薄な酸には鉄よりも溶けにくい。希硝酸には容易に溶けるが、濃硝酸には鉄と同様に不動態となるため溶けない。化合物をつくる場合、通常は+2の酸化数をとるが、より低い状態や、+3、+4などの状態もまれにはみられる。[鳥居泰男]

用途

2007年における世界のニッケル消費量は132万トンであり、そのうち日本は13%を占める。純金属として実験器具や家具などの材料に、まためっき用として金属表面の保護に用いられる。微粉末状のものは水素を吸蔵するので、水素添加用触媒として用いられる。しかしそれ以上に各種の合金の成分としての需要のほうが多く、たとえば、洋銀、ニクロム、コンスタンタン、マンガニン、ニッケリンなどの合金として多方面に用いられるほか、鋼に添加してニッケル鋼、ニッケルクロム鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、磁石鋼などの特殊鋼が製造される。[鳥居泰男]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ニッケル
〘名〙 (nikkel nickel) 鉄族元素の一つ。元素記号 Ni 原子番号二八。原子量五八・六九三四。銀白色の金属。地殻中に銅と同程度に存在するが、地球中心部では鉄とともに大量に存在するとされる。主要鉱物は紅砒ニッケル鉱などの硫化鉱物と珪ニッケル鉱などがある。一七五一年、スウェーデンのクロンステットが発見。研削しやすく、展延性にすぐれ、鉄と同じく鍛造・鍛接ができる。合金材、めっき材として重用されるほか、水素添加用触媒、真空管材料などに広く用いられる。〔舎密開宗(1837‐47)〕

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化学辞典 第2版

ニッケル
ニッケル
nickel

Ni.原子番号28の元素.電子配置[Ar]3d84s2の周期表10族遷移金属元素.原子量58.6934(2).安定同位体核種の質量数58(68.0769(89)%),60(26.2231(77)%),61(1.1399(6)%),62(3.6345(17)%),64(0.9256(9)%).質量数48~78の放射性同位体核種が知られている.1751年スウェーデンのAxel F.Cronstedtにより発見された.元素名は,かれがニッケルを分離したヒ(砒)ニッケル鉱Kupfernickelに由来.Nickelは“小悪魔”の意味で,銅鉱石に似ているにもかかわらず,銅が得られないのは小悪魔のいたずらによるとして鉱石名がついた.宇田川榕菴は天保8年(1837年)出版の「舎密開宗」で,暱古律母(ニッコリュム)と記載している.
おもな鉱石はケイニッケル鉱H2(Ni,Mg)SiO4nH2O,硫鉄ニッケル鉱(ペントランド鉱)(Fe,Ni)9S8,針ニッケル鉱NiS,ラテライト(Fe,Ni)O(OH)・nH2Oなど.確認埋蔵量(150000百万t)はオーストラリア18%,キューバ15%,カナダ,ニューカレドニア各10%,インドネシア9% の順である.地球の中心部はNiFe合金が主体であるが,地殻中の存在度は105 ppm.ほとんどのいん石に含まれる.従来の工業的精錬法は,ニッケル鉱石を酸化物NiOにかえて炭素で還元していたが,硫黄酸化物発生の環境問題から,現在は,酸化物・硫化物鉱石をアンモニアや塩素で浸出処理して,または高圧硫酸浸出法により塩化物,硫酸塩溶液などにかえて電解精錬する方法,水素による還元法などが行われている.ニッケルカルボニル[Ni(CO)4]を250 ℃ 以上で熱分解すると高純度のニッケル金属が得られる(モンド法).銀白色,通常は面心立方格子.密度8.902 g cm-3(25 ℃).融点1453 ℃,沸点2732 ℃.標準電極電位 Ni2+/Ni-0.257 V.第一イオン化エネルギー7.635 eV.鍛造,鍛接ができ,展延性に富む.立方格子のものは強磁性だが,鉄よりは弱い.キュリー温度は358 ℃.金属結合半径0.125 nm.Ni2+(六配位)0.083 nm.
塊状のものは常温で水や空気,酸,アルカリ,ハロゲンガスに対してすぐれた耐食性を示すため,腐食防止用にニッケルめっきが利用される.酸素中で加熱すると火花を発して燃える.空気中で加熱すると表面が酸化される.希酸には鉄よりもゆっくり侵される.希硝酸には容易に溶け,濃硝酸では不動態を生じる.アルカリには侵されない.通常の酸化数1~4.COとは直接反応して[Ni(CO)4]をつくる.130 ℃ で反応速度が最大となる.粉末は水素をかなり吸収するので,水素化の触媒に使われる.ニッケルの合金にはステンレス鋼,耐熱鋼,耐食合金,コンスタンタン,ニッケルクロム鋼,パーマロイ,ハステロイ,磁石鋼など数多くある.日本のニッケル需要の90% はステンレス鋼用.各種電子材料,ニッケル-カドミウム電池,ニッケル-水素電池材料などの原料としても重要である.国家備蓄対象鉱種の一つ.アメリカの5セント硬貨は25重量% Ni,75重量% Cuである.1920年代から使われている有機合成のラネーニッケル触媒は90重量% Ni,10重量% Al.ニッケル化合物の毒性については多数の報告があり,金属ニッケルも「おそらくヒトに発がん性をもつ」という評価がなされている(日本産業衛生学会).化学物質排出把握管理促進法(MSDS制度対象)・第一種指定.「ニッケル及びその化合物」は労働安全衛生法の名称等を通知すべき危険物及び有害物指定.大気汚染防止法の有害大気汚染物質/優先取組22物質の一つに指定されている.[CAS 7440-02-0]

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
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東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
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