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ドクガ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ドクガ
Euproctis subflava
目ドクガ科。前翅長 12~22mm。翅は丸みが強く,体はやや太い。全体黄色。前翅表は濃黄色で,淡色の2横線が翅の中央を横切り,その間に黒褐色鱗が散在する。後翅表は淡色。触角状で,では櫛の歯が短い。成虫は夏季に出現し,灯火に集る。幼虫は体に毒針毛をもち,皮膚に刺さると炎症を起すが,この毒針毛は幼虫がとなり羽化するときも成虫の体についてゆくので,成虫に触れても同様の結果となる。食草はクヌギ,サクラ,バラなど。衛生害虫として有名で,多数発生した場合被害が大きい。北海道,本州,四国,九州,シベリア南東部,中国に分布する。近縁チャドクガ E. pseudoconspersaは淡黄ないし濃黄色で,前翅には黒褐色鱗を散布する。毒針毛を有し,茶,ツバキ,クワなどにつく普通種で,本州,四国,九州,台湾,朝鮮,中国に分布する。なお,ドクガ科 Lymantriidaeは世界に約 2500種,日本に約 50種を産し,上記2種のように毒針毛をもつものや,マイマイガのような重要森林害虫などを含む。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)

ドクガ
どくが / 毒蛾
昆虫綱鱗翅(りんし)目ドクガ科Lymantriidaeの総称。この科の種類は中形から大形。触角は短く櫛歯(くしば)状、雄では枝が長く羽毛状のことが多い。口吻(こうふん)は退化し、成虫は養分を摂取しない。世界中に分布するが、熱帯に種の数が多く、日本産は52種登録されている。幼虫は食葉性のケムシで、二次刺毛がよく発達している。ほかの科と違って、第6、第7腹節に背腺(はいせん)をもつ。腹脚は4対、尾脚もよく発達している。繭は、葉の間、枝あるいは樹皮に、体毛を混ぜてつくるが、一般に薄く、一部の種ではほとんど繭をつくらない。土中に入って蛹化(ようか)する種はいない。森林、果樹、庭園樹などの害虫が少なくない。
 種のドクガEuproctis subflavaは、はねの開張30~40ミリメートル。体翅とも橙黄(とうこう)色。前翅は後翅より濃色、はねの中央部に黄白の細い帯が2本あり、その間はやや黒みを帯び、外縁の翅頂下に1、2個の黒紋または黒点をもつことが多い。一般に雌は雄より大きい。北海道から九州、対馬(つしま)、朝鮮半島、シベリア南東部から中国に分布する。幼虫は体長約40ミリメートル。体は黒色、背線と側部は橙(だいだい)色。黒色毛を歯ブラシ状に密生し、黄褐色毛を混ぜる。毛の束のなかに毒針毛が混ざり、これが皮膚に刺さると、かゆみとともに炎症をおこす。年1回の発生で、若齢幼虫で群集して越冬し、春に休眠から覚めて新芽を食害する。若齢のうちは群生し、頭部をそろえて食葉を食べるが、のちに分散する。初夏のころ、葉間などに体毛を混ぜた薄い繭をつくって蛹化(ようか)する。この繭には無数の毒針毛が混ぜられ、夏に成虫が羽化すると、その体には鱗粉に混ざって、多数の毒針毛がついている。したがって、繭に触れても、また成虫が灯火に飛来して壁などにぶつかったときも、人の皮膚に毒針毛が刺さって炎症をおこす。雌は産卵する際、卵塊を毒針毛の混ざった尾毛で覆うので、孵化(ふか)した幼虫は母ガからもらった毒針毛で体を覆うことになる。幼虫はきわめて雑食性で、サクラ、バラ、キイチゴ、クヌギ、クリ、カキなど多種類の樹木や低木の葉を食べる害虫である。Euproctis属は日本に12種いて、いずれも幼虫の体に毒針毛が生え、これが繭を経て成虫に受け継がれる衛生害虫である。ドクガが大発生すると、人畜に大きな害を与える。[井上 寛]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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