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タブー

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

タブー
tabu; taboo
ポリネシア語のタブまたはタプから派生した用語で,禁忌または禁止を意味し,さらに聖なるものや呪われたものを区別する儀礼的用語として使われる。 1771年にキャプテン・クックがトンガ人の言葉として記録したのが最初であるが,急速にヨーロッパ化し,『ブリタニカ百科事典』第9版 (1875~89) には J.フレーザーが,ポリネシアで俗を意味するノアに対する言葉で聖を意味するものとして紹介した。 R.マレットも聖を意味するマナと関連させて考えた。一般に聖または不浄の両者と関連し,触れることを許されないこと,またはその対象をさす。非合理的な概念であるが,法的禁止よりも社会慣習的なものである。しかし一般的なタブーの概念は,ポリネシアの意と同義的ではなく,個々の場合によって性質が異なるので類型的に考えられないこともある。近年では,M.ダグラスや E.リーチらは,事象・事物を分類する過程において,重複する曖昧な領域が神秘化され,あるいはタブーの対象となるという仮説を提起している。

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デジタル大辞泉

タブー(taboo/tabu)
《〈ポリネシア〉tapu(はっきり印をつけられた、の意)から》
聖と俗、清浄と不浄、異常と正常とを区別し、両者の接近・接触を禁止し、これを犯すと超自然的制裁が加えられるとする観念・風習。また、禁止された事物や言動。未開社会に広くみられる。禁忌。禁制。「宗教上のタブーを犯す」
ある集団の中で、言ったり、したりしてはならないこと。法度(はっと)。「彼にはその話はタブーだ」

出典:小学館
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デジタル大辞泉プラス

タブー
《TABU》スペインの香水ブランド、ダナフレグランス。1932年発表。ジャン・カールの作。ジャコウやアンバーフローラル調合、オリエンタルノートの先駆的香水。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

タブー【taboo】
文化人類学などにおいては,タブーという語は次のような限定された意味で用いる。すなわち,ある事象(事物,人,行為など)を,感染性の危険を帯びているとみなして,それに触れたり,さらにその行為をしたりすることを禁じる規則があり,その規則に違反したものは自動的に災厄に見舞われると考えられているとき,そのような規則をタブーと呼ぶ。タブーを侵犯した者は,自分自身が災厄に見舞われるだけでなく,自分の周囲の人々や共同体にも災厄をもたらす。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

タブー【taboo】
〔ポリネシア語で、明確にしるしをつける意〕
聖・俗、浄・不浄、正常・異常を区別し、両者の接近・接触を回避・禁止し、それを犯した場合には超自然的制裁がくだるとする観念・慣習の総称。特定の人間(王・死者・妊産婦など)、事物(動植物・鉱物・食物など)、状態(出産・月経・成人・死など)、行為(戦闘・狩猟・近親相姦・食事・言葉など)、日時、方角などをめぐるものなどがある。禁忌。
言及したり行なったりしてはいけないこと。 「社長の前でゴルフの話は-だ」

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日本大百科全書(ニッポニカ)

タブー
たぶー
tabootabu
タブーは元来ポリネシア語で、ta(=印をつける)とpu(=強烈さを示す副詞)が結合して、「はっきり印をつけられた」とか「くぎられる」とかを意味することばであった。そこから派生的に「神聖」とか「禁止される」といった意味が導き出されるが、タブーはあくまで単一の概念であり、神聖と禁止という別々の意味を含む複合的概念ではない。なぜなら、ポリネシアでは神聖な物や場所は、一般にだれでもそれが神聖であることを知りうるような特殊な方法で印をつけられ、そうしたものに近づかないとか触れないとかいうことは状況しだいであったからである。たとえばポリネシアでは、個人の政治的権威は、が課すことのできるタブーの種類によって測られ、このタブーは彼より上位の官職につく者だけが無効にできたのである。もし食料統制者が食物のタブーを布告すれば、次の収穫までそれを食べることはできなかった。このことは、ポリネシアの政治的ヒエラルキーが拒否権のヒエラルキーであり、拒否権の執行がタブーの形でなされていたという事情による。このようにタブーは、ポリネシアの文化的脈絡のなかで解釈されるべき特殊な概念であるのだが、それが西欧文化に移植されるにあたってさまざまの曲解を被ることになった。[土佐昌樹]

タブーのさまざまな解釈

タブーということばは、J・クックが18世紀末に西洋人で初めて記述し、おもにビクトリア朝時代のイギリス社会に輸入された。英語にはタブーのような意味の広がりをもつ単語がなかったので、本来単一の概念であるタブーを「禁止」と「神聖」という二つの概念に分解することで、その意味の理解が試みられた。さらに、ポリネシアの文化的脈絡から切り離し、西欧の文化的基準に立脚した解釈を受けたタブーという概念は、種々の意味上の偏向を受けつつ宗教学や人類学に導入されることになった。たとえば、R・スミスは、タブーを迷信のもっとも低い形態としてかたづけた。彼は、未開人においては不浄の原因とタブー視されることが同じものとしてとらえられていると主張し、こうした観念を一神教成立以前の原始性を示す残滓(ざんし)と考えた。この誤解は、彼が「神聖」という概念をタブーから切り離し、不用意に「不浄」という概念に関連づけたためであるが、同時に、ビクトリア朝時代は宗教への合理主義的アプローチが盛んになり始めた時代で、また、当時の社会自体がタブーに満ち満ちていたという事情にもよるのである。さらに、フレイザー、ブント、フロイトなどによって雑多な現象群がタブーという名のもとにまとめ上げられたが、ポリネシアの慣習であるタブーを理解し、かつ通文化的比較を可能にするような定義は与えられていない。シュタイナーは、タブーは価値への志向が危険な行動によって表現されるあらゆる状況の一要素であることを指摘し、タブーの見出しの下で議論されるあらゆるものは単一の問題としては理解しえないと述べた。さらに、タブーは、〔1〕違反の分類と認定、〔2〕危険の制度的な位置づけ、という二つの社会的機能をもつと主張した。
 今日では、タブーは、「禁忌」という一般的概念として用いられており、違反がなんらかの社会的制裁を引き起こす場合だけでなく、そうした結果を予期しない単なる禁止、禁制を意味する場合にも適用されている。逆に、その適用範囲を限定して、外在的な媒介なしに必然的に罰が与えられるような、自動的に働く禁止の意味でのみタブーという用語を使用すべきとする意見もある。一方、文化記号論においては、タブーはより一般化された境界性の問題に包摂されている。すなわち、あるカテゴリーxとが接する境界領域は、あらゆる社会において「聖なるもの」や「タブー」として特別の価値を付与されているが、タブーはこうした境界領域の属性の一つとして位置づけられているのである。たとえば、「この世」と「あの世」の境界に生ずる出生や死、身体と外界との境界に生ずる排泄(はいせつ)物や出血、ある社会的カテゴリーから別の社会的カテゴリーに移行する境界にある思春期の男女、新婚夫婦、男女のやもめなどにそうしたタブーと結び付く境界性がみられる。こうした境界的現象はどこの社会でも特別に徴(しるし)づけられており、「神聖」「非日常的」「穢(けがれ)」「タブー」などの価値で取り囲まれているが、個々の意味については、当該社会の文化的脈絡と照らし合わせながら解釈されねばならない。[土佐昌樹]
『F・シュタイナー著、井上兼行訳『タブー』(1970・せりか書房)』

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精選版 日本国語大辞典

タブー
〘名〙 (taboo, tabu 元来はポリネシア語)
① 未開社会における宗教的観念の一つであるが、異常と正常、聖と俗、清浄と不浄を区別し、両者の接近・接触を禁止し、これを犯すと超自然的制裁が加えられると信ずる社会的習俗に対する総称となった。禁忌。ものいみ。
※法窓夜話(1916)〈穂積陳重〉八二「タブーに触れる者が有るときは、近隣の者共は寄集って刑の宣告を待ち」
② (比喩的に) 社会や特定の集団の中で、法的に禁止されているわけではないが、それに言及したり、それを行なったりするのは良くない、そうすると悪い結果になると見なされていることがら。
※思想問題(1913)〈上田敏〉思想界と其問題「禁制(タブウ)の下に凡ての人生問題を置こうとする」

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