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セルロース

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

セルロース
cellulose
グルコースが,β-1,4-グルコシド結合(→グルコシド)をした多糖類繊維素ともいう。(C6H10O5)n で表される。側鎖はない。植物体の細胞壁の主成分である。白色無臭の固体で,水に溶けない。アルカリにはかなり強いが,加水分解されグルコースになる。また,細菌類などの酵素セルラーゼにも加水分解される。繊維の原料として工業的にも重要な天然高分子である。セルロース資源は,マツカバなどの木材,アサミツマタコウゾなどの靭皮繊維,アサ,マニラアササイザルアサなどの葉茎繊維,ワタの種子毛など,天然物に依存している(→繊維植物)。精製セルロース(パルプまたはリンター)は,紡織繊維や紙以外にレーヨンセロハンアセテート繊維ニトロセルロースなどの製造に用いられる。

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朝日新聞掲載「キーワード」

セルロース
食物繊維の一種で、植物などからつくられる。食べても健康には影響ないとされる。食品添加物としては、チーズがくっつくことやココア粉末が分離することを防ぐためなどに用いられる。
(2010-08-19 朝日新聞 朝刊 1経済)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

セルロース(cellulose)
植物の細胞壁の主成分をなす多糖類の一種。ぶどう糖が直鎖状につながった構造をしている。繊維・布・紙・パルプなどの形で利用され、火薬・レーヨンセロハンセルロイドなどの製造原料。繊維素。

出典:小学館
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栄養・生化学辞典

セルロース
 D-グルコピラノースがβ1→4結合で直線状に結合した繊維状の多糖.動物の酵素によって消化されず,食物繊維の代表的な物質.植物界には豊富に存在する.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

セルロース【cellulose】
繊維素ともいう。セルロースは自然界で最大量の有機化合物であり,おそらく世界中の全植物質の1/3を占めるだろう。セルロースの命名は,1838年フランスのパヤンAnselme Payen(1795‐1871)によって,高等植物の細胞(セル)壁を構造する糖の意味でなされた。セルロースは古来衣類に用いられてきたが,工業的に利用しようという試みは近代工業とともに興った。44年,マーセルJohn Mercer(1791‐1866)はセルロースとアルカリの反応(マーセリゼーション)を研究し,工業的利用への道を開いた。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

セルロース【cellulose】
植物細胞の細胞壁・植物繊維の主成分をなす多糖類。化学式(C6H10O5n   β グルコースが多数結合した長い鎖状の分子で、天然のものでは約一〇〇〇~二〇〇〇のグルコース残基から成る。パルプ・レーヨン・硝酸セルロース・セロファンなどの原料となる。繊維素。セルローズ。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

セルロース
せるろーす
cellulose
植物細胞壁の主要構成成分。自然界にもっとも多く存在する有機化合物であり、植物中で二酸化炭素と水とから光合成によってつくられている。繊維素ともいう。セルロース鎖(α-1,4グルカン)が40本くらい集まった単位をミセルとよび、ミセルが多数集合したものをミクロフィブリル(微繊維)という。ミクロフィブリルは太さ10~30ナノメートル、長さ数マイクロメートルの大きさである。細胞壁の中で、セルロースはミクロフィブリルを形成する(セルロースミクロフィブリル)。これは、他の非セルロース性多糖類(ヘミセルロースおよびペクチン質)からなるマトリックス(細胞質基質)の中に埋没されたような状態で存在している。一次細胞壁(最初に形成される細胞壁)中のセルロース含量は、植物の種類や組織、年齢によって異なるが、普通、細胞壁乾燥重量の25~40%を占める。一般に若い細胞の細胞壁では、セルロース鎖を構成するグルコースの重合度は小さく、セルロース含量も少ない。さらに、ミクロフィブリルは細胞の長軸(茎軸)方向に対してほぼ直角に配列しているのみならず、ミクロフィブリルどうしの間隔も広い。このことは、若い細胞では細胞壁構造が長軸方向に対して機械的に柔軟であり、したがって、長軸方向へ伸長成長しやすくなっているということと関係がある。加齢した細胞では、セルロース分子のグルコース重合度も大きくなり、含量も増加して、60%に達することもある。また、若い分裂組織の細胞に比べて、成熟した細胞では、細胞当りのセルロース含量は約10倍にもなる。この際、ミクロフィブリルどうしの間隔も密になり、配列も長軸と平行のものが多くなり、全体としては網目構造を形成するようになる。この状態になった細胞壁は、機械的に強い構造となり、伸展性は少なくなる。したがって、細胞の成長も停止することになる。
 植物細胞壁におけるセルロースミクロフィブリルの配列方向は、微小管の配列方向によって決められる。[勝見允行]
 植物体においてセルロースの占める割合はふつう1/2~1/3であるが、ジュートでは65%、アマでは80%、木綿では98%に及ぶ。木綿をアルコールとエーテルで洗うことにより、ろう、脂肪を除き、約1%の希アルカリ溶液で煮沸することによりペクチン様物質を除くと、純粋なセルロースが得られる。木材など普通の植物繊維はリグニン、ヘミセルロースなどを含むため、硫酸塩法、亜硫酸塩法によりこれを取り除くと、パルプとよばれるセルロースが得られるが、パルプには非セルロース分がまだ残っている。[谷利陸平]

構造

セルロースはD-(+)-グルコースのみより構成される多糖類(C6H10O5)nであり、グルコース単位は六員環いす形構造をもつヘミアセタールであるグルコピラノース環となり、そのC1位にあるヒドロキシ基-OHと、隣接するグルコース単位のC4位ヒドロキシ基との間で水1分子を失った形のβ-1,4-グルコシド結合により直鎖状につながった構造をとっている。結合をつくる二つのヒドロキシ基はいずれも赤道方向ともいうべきエクアトリアル位(赤道という意味)にあるため、グルコース単位は直鎖状に並ぶ。セルロースとデンプンは、結合をつくる位置と方向が多少違うことから、立体配置が異なっている。セルロースの分子量は数十万またはそれ以上のこともあり、1分子につき存在するグルコース単位の数(分子式でのnの数)は3000~6000個、セルロース分子の長さは2万~3万オングストローム(Å。10-10メートル)といわれている。これら鎖状セルロース分子において、数多くのヒドロキシ基が残っており、いずれもエクアトリアル位にあるため分子間の水素結合によって結び合い、平行に規則正しく配列し束をつくっている。束の両端は房状となり、他の房と網状につながりセルロース繊維となっていると考えられている。実際に天然セルロースにおいては微結晶部分と無定形部分とが認められ、このような構造が繊維の強さ、弾力性、染色性、吸湿性を生んでいる。セルロースを溶解したのち再生すると結晶構造は変わる。木材ではセルロース分子の束がリグニンの中に埋め込まれ、さらに強化された構造となっている。セルロースのなかには、D-マンノース、D-キシロースを含むもの、またD-グルコースが多少枝分れして結合しているものも例外的にある。
 地球上のグルコースがエナンチオマー(光学異性体、鏡像異性体)の一方D-(+)-グルコースのみであるため、セルロースもエナンチオマーの一方のみである。[谷利陸平]

性質

セルロースは吸湿性の強い無味・無臭の白色固体で、普通のセルロース試料は10%程度の水を含んでいる。水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルなど通常の溶媒には溶けず、シュワイツァー試薬(銅アンモニア溶液)、硫酸、塩酸、リン酸に溶ける。
 セルロースを希酸と煮沸すると加水分解されD-グルコースが得られるが、デンプンなど他の多糖類と比べると加水分解されにくく、アルカリでは加水分解されない。セルロースのグルコース単位はそれぞれ3個のヒドロキシ基をもち、反応はこのヒドロキシ基でおこる。すなわち、セルロースはアルコールと同様にエステル、エーテルを生成する。硝酸、硫酸の混合酸を作用させると硝酸エステルであるニトロセルロースが、クロロスルホン酸を作用させると硫酸セルロースが得られる。また無水酢酸と少量の硫酸で処理するとトリアセテートとなり、これを部分加水分解すると、鎖の開裂、アセチル基の部分脱離がおこり、200~300単位のジアセテートすなわちアセチルセルロースが生成される。アルカリで処理して得たアルカリセルロースに二硫化炭素、ハロゲン化アルキル、クロロ酢酸塩を作用するとセルロースキサントゲン酸塩やメチルセルロース、CMC(カルボキシメチルセルロース)などのセルロースエーテルが得られる。これらセルロースの反応は、安価で入手しやすい既製の高分子の性質を改良するため行われ、工業的に重要な意味をもっている。[谷利陸平]

用途

セルロースは繊維、紙として大量に用いられるほか、セルロース誘導体は火薬、プラスチック、フィルム、ビスコースレーヨン、消泡剤、乳化分散剤、増粘剤、光学分割剤、保護コロイドなどとして用いられ、イオン交換セルロースは生化学分野での用途が多い。かつて多く製造されたセルロイド、セロファンもセルロース誘導体である。[谷利陸平]

人体との関係

人間の消化管には繊維素分解酵素(セルラーゼ)は分泌されないから、セルロースは消化吸収されないで排泄(はいせつ)される。しかし大腸に生育する微生物のあるものはセルロースを分解する。セルロースは食品分析における「粗繊維」の主成分である。また腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進し、便秘を防ぐ。[不破英次]
『右田伸彦・米沢保正・近藤民雄編『木材化学』上(1968・共立出版) ▽木材工業ハンドブック編集委員会編『木材工業ハンドブック』改訂3版(1982・丸善) ▽増田芳雄著『植物の細胞壁』(1986・東京大学出版会) ▽村尾沢夫ほか著『セルラーゼ』(1987・講談社) ▽桜井直樹ほか著『植物細胞壁と多糖類』(1991・培風館) ▽越島哲夫編『セルロース資源――高度利用のための技術開発とその基礎』(1991・学会出版センター) ▽井手文雄著『界面制御と複合材料の設計』(1995・シグマ出版) ▽松永是・本宮達也編著『おもしろいバイオ新素材のはなし』(1996・日刊工業新聞社) ▽宮本武明ほか編『21世紀の天然・生体高分子材料』(1998・シーエムシー) ▽化学工学会編『先端材料制御工学』(1999・槇書店) ▽セルロース学会編『セルロースの事典』(2000・朝倉書店) ▽磯貝明著『セルロースの材料科学』(2001・東京大学出版会) ▽越島哲夫ほか著『機能性セルロース』(2003・シーエムシー出版)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

セルロース
〘名〙 (cellulose) グルコースからなる単純多糖類の一種で、高等植物や藻類の細胞膜、繊維の主成分。酸によって加水分解されるが、水に溶けず化学薬品にも抵抗性が強い。ふつう木材、綿、麻などから採取され、紙や衣類の原料とされるほか、爆薬となるニトロセルロース、酢酸セルロースなどの原料として広く用いられる。繊維素。〔舶来語便覧(1912)〕

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化学辞典 第2版

セルロース
セルロース
cellulose

繊維素ともいう.植物の細胞壁を構成する主成分であり,天然にもっとも豊富に産出する有機物質の一つ.セルロースは,グルコースがβ-1,4-グルコシド結合した多糖類で,化学式は (C6H10O5)n で示される.

セルロースは,一般に,植物体中のリグニンヘミセルロースなどの非セルロース成分を除去,精製して得られるが,多くの場合,非セルロース成分の除去・精製にいろいろの工夫がされている.その方法は,亜塩素酸塩,過酢酸などによってリグニンを選択的に分解除去し,おもにセルロースとヘミセルロースからなるホロセルロースを得たのち,アルカリ抽出によってヘミセルロースを中心とした非セルロース成分を除去して調製される.また,クラフト法,サルファイト法で得られるクラフトパルプ,サルファイトパルプなどの化学パルプを漂白し,残存するリグニンおよびヘミセルロースを除いて得ることもできる.天然セルロースは分子が集合し,部分的に微結晶を形成している(セルロース-Ⅰ).また,結晶構造の異なる水和セルロース(セルロース-Ⅱ),セルロースの銅アンモニア化合物を分解するときに得られるセルロース-Ⅲ,セルロースの高温再生によって得られるセルロース-Ⅳなど,各種の結晶変態が存在する.セルロース-Ⅰの結晶形には,三斜晶系の Iα と単斜晶系の Iβ があり,天然セルロース中では両者がセルロースの起源によって異なる割合で混在していることが知られている.微結晶以外の部分は非晶領域とよばれ,分子は秩序ある配列をしていない.さらにこれらの繊維が集合して,フィブリルを形成している.このフィブリルの存在は,セルロースの膨潤,こう解などでみとめられる.生体内では,グアノシン三リン酸とα-D-グルコピラノシルリン酸から生成するグアノシン二リン酸-D-グルコースが,アクセプターと順次反応してグルコース単位を増して合成される.セルロースの分子量は数万~数十万に及び,ヒドロキシ基をもっているにもかかわらず,水には溶けず,アルカリで膨潤する.セルロースは各グルコース単位ごとに3個のヒドロキシ基があるため,セルロースエステルセルロースエーテルなどのセルロース誘導体をつくることができる.その形態をそのまま利用した紡織繊維,紙などの製造がおもな用途であるが,各種セルロース誘導体についても,多様な用途がひらかれている.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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