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ストック【すとっく】

日本大百科全書(ニッポニカ)

ストック(アブラナ科)
すとっく
stock
[学]Mathiola incana R. Br.
アブラナ科の半耐寒性多年草。通常は一年草として扱う。南ヨーロッパ原産。高さ約60センチメートル。葉は木質化した茎に多数つき、披針(ひしん)形で灰緑色、白毛に覆われる。原種の花は同じくアブラナ科のダイコンに似た紫色の4弁花で、小さく、長い総状に開花する。強い芳香があり、ことに夜、よく香る。未熟な若莢(さや)は細長い棒状で食用に供されるというが、現在は利用されていない。品種改良によりさまざまな形態のものがあり、葉に毛茸(もうじ)のない濃緑色のもの、枝の出ない一本立ちのもの、あるいは矮性(わいせい)種などがある。花色も赤、桃、紫、青、淡黄、白色など、豊富である。花形は大輪の八重咲きも作出され、長い筒状の穂になって開花する。現在よく栽培される八重咲きの系統も八重咲きの株からはまったく種子がとれないので一重咲きの株から採種するが、これを播(ま)くと、一重と八重が半々に出る。八重咲きをつくるには、一重咲きと八重咲きの株では葉の形など小苗のときから微妙な相違があるので、間引きをし、八重咲きの株だけを残して育てる。秋、冬、春を通し、切り花に多く用いられる。栽培はビニルハウスか海岸近くの暖地の露地で行う。苗づくりがむずかしく、冬の寒さにも弱いので、一般家庭で栽培するのはむずかしい。[伊藤秋夫]

文化史

中世までに園芸化された。16世紀末ごろにはイギリスではたいていの庭でみられるようになり、花色の違いがあると、ジェラードJohn Gerardは書き留めている(『The Herball』1597)。1611年には、トラデスカントJohn Tradescantによって八重咲きが記録された。当時のイギリスでは、ストック・ジロ・フラワーstock-gilo-flowerとよばれたが、ジロ・フラワーとはクローブ(丁字(ちょうじ))やクローブカーネーションのことで、それらに似たよい香りがするが、クローブカーネーションより茎(ストックstock)が目だつので、ストックの名が冠せられ、のちに略称されストックになった。日本には江戸時代の寛文(かんぶん)年間(1661~73)に渡来した(『花壇地錦抄附録(かだんちきんしょうふろく)』1733)。ストックはアラセイトウともよばれるが、その名は茎葉の白い毛を羅紗(らしゃ)に見立てた羅紗のポルトガル語ラセータraxetaに基づく。[湯浅浩史]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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