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クエーサー

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

クエーサー
quasar
光学望遠鏡で見ると恒星に近い形状を示すが,大きな赤方偏移を示す輝線スペクトルをもつ特異な天体。強力な電波を放出していることが多く,準恒星状電波源,準恒星状天体準星などとも呼ばれる。現在までに見つかっているクエーサーの数は約 3000個。非常に大きな赤方偏移を示す Q0051-279は,光速の 93.4%もの速度でわれわれから遠ざかっている。クエーサーの光学スペクトルは,水素のライマン線およびバルマー線やその他の禁制線による幅広い輝線と,赤方偏移の異なるいくつかの吸収線からできている。吸収線の赤方偏移は,輝線の赤方偏移より少く,吸収線は,われわれとクエーサーの間に存在するガスによってつくられたものでクエーサー固有のものではないと解釈されている。光学的明るさや電波強度は数日から数年の間に倍以上変化することがあり,その大きさは数光年以下であろうと推定されている。クエーサーは,強い赤外線,紫外線,X線を放射している。そのエネルギーが何によってまかなわれているのかはまったく不明である。われわれからその天体までの距離が確かでないのが問題である。通常行われているように,赤方偏移を宇宙の膨張によるものと考えると,クエーサーはほとんど宇宙のはて近くにあることになる。遠方にあるにもかかわらず明るく見えるのは,この天体が通常の銀河よりはるかに多量のエネルギーを非常に狭い領域で放出していることを示す。たとえば 3C273と呼ばれるクエーサーは,赤方偏移から約 15億光年のかなたにあると思われるが,その明るさは約 13等で,通常の銀河の 100倍のエネルギーを放射している。この莫大なエネルギー放射を説明するために,物質・反物質消滅説や超巨大質量天体説,ブラックホールやホワイトホール説などが登場したが,いずれも成功を収めていない。一方,赤方偏移を,宇宙の膨張によるものでなく重力による相対論的効果であるとする考え方もある。この立場に立てば,クエーサーを銀河系近くの天体と考えることができ,エネルギーの困難は救われる。しかし,大きな赤方偏移をつくりだすための強い重力場をどのようにつくりだすのかという問題が残る。また,クエーサーを,特異な銀河である電波銀河や密小銀河,クエーサーによく似たセイファート銀河などの仲間であるとする考え方は自然であり,強い重力場の中で赤方偏移をつくりだす考え方は一般にあまり受入れられていない。クエーサーの問題を解決することは,現代天文学の最重要課題の一つでもある。

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デジタル大辞泉

クエーサー(quasar)
X線・光・赤外線など膨大なエネルギーを放出しスペクトルが著しく赤偏する天体。数十億光年以上遠くにあり、星のように見える。1963年に強い電波を出す天体として発見されたが、電波の弱いものもある。準星。準恒星状天体QSOquasi-stellar object)。

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世界大百科事典 第2版

くえーさー【クエーサー】

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大辞林 第三版

クエーサー【quasar】
非常に遠方にあって、銀河の中心核が爆発しているものと考えられている天体。光学望遠鏡では、暗い恒星状に見える。強い電波を発する天体として発見されたが、その後電波の弱いものも多数見つかっている。準星。恒星状天体( QSO )。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

クエーサー
くえーさー
quasar
見かけは星状に見える天体であるが、強くて幅の広い輝線を示し、その輝線の波長が赤い方に大きくずれている天体。準恒星状天体quasi-stellar object(QSO)という名称を短縮しクエーサーquasarとよばれるようになった。かつては宇宙の果てにある特異な天体と考えられたが、その後クエーサーの周囲に広がった星雲状の構造が詳しく観測されるようになり、中心核が異常に明るい、きわめて活発な銀河の一種と考えられている。
 1963年に電波源3C273がジェットを伴う13等級の天体に同定され、大きな赤方偏移z=0.158をもつことがわかったのがクエーサーの最初の発見で、現在では1万を超えるクエーサーが確認されている。赤方偏移の大きなものはz=5に近い。輝線のずれが宇宙の膨張に伴うドップラー効果とすると、ずれの大きいものは光速の95%に相当する速度で後退している宇宙の果てにある天体ということになる。
 クエーサーは、強い光やX線を放射しているが、その1割弱は強い電波を出している。なぜ電波の強さに大きな違いがあるかはわかっていない。クエーサーの放射エネルギーは、通常の銀河が放出するエネルギーの100倍から1000倍に相当する。クエーサーのなかには、1日から数日の時間変動を示すものもあり、きわめて小さい領域から膨大なエネルギーを放出していることがわかる。巨大なエネルギーを狭い領域から開放するには、効率的なエネルギー発生機構を考えなければならない。この巨大なエネルギー源の説明として、活動的な銀河中心核に太陽の数億倍近くの質量をもつ超巨大ブラック・ホールが存在し、その周辺に形成される降着円盤(ガス円盤)から物質が落ち込む際、重力エネルギーが解放されるものと考えられている。
 超長基線干渉計(VLBI)の観測によると、中心からジェットが伸び、光の速度をはるかに超える速さで動いている現象が観測されているが、これは、中心核から光速に近い速度でガスが放射されるため生ずる見かけ上のものと考えられている。
 クエーサーの空間分布の分析によると、その数は遠方になるにしたがって増加していることがわかる。遠いということはそれだけ昔を見ていることになるので、現在に比べ、昔はたくさんのクエーサーが存在していたとみられる。ところがさらに遠くを調べるとその数は急に少なくなっており、クエーサーの大部分は宇宙の始めのある時期に活発に活動した天体ではないかと考えられている。
 クエーサーのように銀河中心核がきわめて活発な天体を、通常の銀河核と区別し活動銀河核と総称している。そのなかにクエーサーに類似した活動的な天体であるブレーザーblazerがある。クエーサーに比べ強度の時間変動が激しく、放射のほとんどを連続光で占め、電離ガスに伴う輝線が非常に弱いという点でクエーサーとは異なる。[田原博人]
『松田卓也・中沢清著『進化する星と銀河――太陽系誕生からクェーサーまで』(1977・講談社) ▽アイザック・アシモフ著、東洋恵訳『輝けクェーサー』(1981・培風館) ▽小尾信彌著『銀河の科学』(1989・日本放送出版協会) ▽アイザック・アシモフ著、小原隆博訳『宇宙の新しい発見――クエーサー・パルサー・ブラックホール』(1990・福武書店) ▽福江純著『銀河にひそむモンスター』(1991・岩波書店) ▽マルコム・S・ロンゲア著、柳瀬尚紀訳『宇宙の起源――最新データが語る宇宙の誕生』(1991・河出書房新社) ▽ハインツ・R・パージェル著、黒星瑩一訳『星から銀河へ――ハーシェルの庭』(1993・地人書館) ▽マイケル・ロワン・ロビンソン著、池内了訳『宇宙のさざなみ――最新宇宙論の舞台裏』(1995・シュプリンガー・フェアラーク東京) ▽藤井旭著『宇宙探検――そこが知りたい!宇宙の秘密』(2002・偕成社)』

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精選版 日本国語大辞典

クエーサー
〘名〙 (quasar quasi-stellar object から) =じゅんせい(準星)

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