Rakuten infoseek

辞書

インスリノーマ

デジタル大辞泉

インスリノーマ(insulinoma)
膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島にあるβ(ベータ)細胞にできる腫瘍(しゅよう)。インスリン分泌が過剰となり、低血糖を起こす。良性と悪性とがある。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

栄養・生化学辞典

インスリノーマ
 膵臓のランゲルハンス島のB細胞にできる腫瘍.良性も悪性もある.高インスリン血症,低血糖をもたらすことが多い.

出典:朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

大辞林 第三版

インスリノーマ【insulinoma】
膵臓のランゲルハンス島にできるインシュリンを分泌する腫瘍。良性のものと悪性のものがある。低血糖発作が主症状。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

インスリノーマ
いんすりのーま
insulinoma
インスリンを産生する機能性腫瘍(しゅよう)で、膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島にあるβ(ベータ)細胞の腫瘍である。古くはインスリンを分泌するランゲルハンス島の腫瘍としてインスローマ(膵島細胞腺腫(せんしゅ))とよばれていたが、ランゲルハンス島からはガストリンやグルカゴンなどを分泌する腫瘍が報告されるようになり、インスリノーマとして区別された。おもな症状は低血糖で、腫瘍細胞から生体の制御を受けず自律的に血糖降下作用をもつインスリンが過剰に分泌されるために、血液中のブドウ糖が正常以下に低くなってしまう。このほか、発汗、ふるえ、動悸(どうき)、不安感、飢餓感、ときには頭痛や眠気などの症状を訴える。重症の場合には、けいれん発作や昏睡(こんすい)に陥ることがある。このような発作は空腹時、とくに明け方に多くみられ、だんだん強まるのが特徴で、食物を摂取すると回復する。
 診断は血糖および血中のインスリン濃度の測定によるが、CTスキャンや膵静脈撮影によって腫瘍を確認することが必要である。治療は原則的には手術で腫瘍を摘出することであるが、手術できない場合は、副腎(ふくじん)皮質ホルモンやストレプトゾトシンなどを経口投与することで、症状の改善がみられることがある。[高野加寿恵]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

内科学 第10版

インスリノーマ(膵疾患)
 【⇨ 13-2-5)】[清水京子・白鳥敬子]
■文献
Imamura M, Takahashi K, et al: Usefulness of selective arterial secretin injection test for localization of gastrinoma in the Zollinger-Ellison syndrome. Ann Surg, 205: 230, 1987.
Raymond E, Dahan L, et al: Sunitinib malate for the treatment of pancreatic neuroendocrine tumors. N Engl J Med, 364: 501-513, 2011.
Yao JC, Shah MH, et al: Everolimus for advanced pancreatic neuroendocrine tumors. N Engl J Med, 364: 514-523, 2011.

出典:内科学 第10版
©Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は原書刊行時(2013年)の時点での最新のものです.常に最新の内容であることを保証するものではありません。また,権利関係の都合で一部表示できない図や画像があります。

インスリノーマ(糖代謝異常)
概念
 膵β細胞が腫瘍化し過剰に増殖する結果,血糖値に見合わない多量のインスリンが分泌され,空腹時の低血糖を生じる疾患である.多くの場合(約80%),良性の腫瘍で単発であり,空腹時低血糖が特徴的であるが,食後の低血糖が目立つ場合もある.約10%が悪性化したβ細胞の増殖が原因である.多発内分泌腫瘍1型(MEN 1型)の部分症として,認められることもある.
病態生理
 本来の膵β細胞は,グルコース濃度に応じてインスリンを分泌する.しかし,腫瘍化したβ細胞は,脱分化の傾向にあり,グルコース濃度感知能を失い,血糖値が低くてもインスリンを出し続けるため,空腹時低血糖をきたす.症例によっては,腫瘍化にもかかわらず,分化能を保っており,食事に伴ってインスリン分泌が過剰となり,食後に低血糖をきたす場合もある.低血糖に伴う痙攣や異常行動のために,てんかんあるいは精神疾患と誤られる場合も少なくない.
診断
 冷汗やふらつき,意識障害などから,低血糖を念頭におき,インスリノーマの存在を確定する存在診断を行う.まず,外来において,低血糖時に,血糖値と血中インスリン値,C-ペプチド値を測定することが重要である.従来,血糖値とインスリン値からインスリノーマを診断するための指標が示されてきたが,感度や特異度が不十分である. 一般に,低血糖時のインスリン値が3 μU/mL以上である場合に疑われる.確実に低血糖を捕まえるために,十分な監視のもと48~72時間の絶食試験を行うことも考慮する.インスリノーマの患者では,24時間までに67%が低血糖症状を伴う血糖値40 mg/dL以下に至り,48時間までには95%で低血糖を生じたと報告されている(Hirshbergら,2000).45 mg/dL以下の低血糖に至った時点でのインスリン値が3 μU/mL以上でかつC-ペプチド値0.6 ng/mL以上であれば,インスリノーマの存在はほぼ確かである.不正にインスリンを注射していた場合には,C-ペプチド値が0.6 ng/mL以下となる.この絶食試験では,ごく一部の膵島細胞症でも陽性になるとされるが,ほかにはインスリノーマ以外には陽性にはならない.存在が確定したら,次に局在診断に移る.
 局在診断とは,インスリノーマの存在部位を確定することであり,超音波検査やMRI検査を用いた画像診断と選択的動脈内カルシウム注入試験によって行う.インスリノーマはその約半数は径2 cm以下であり,また通常hypervascularであるため,造影剤を用いたダイナミックCTをスライス幅5 mmないしは2 mmで行う.MRIも造影CTと同様に診断的価値は高く,T1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈し,脂肪抑制画像を得ることでさらに判別が容易となっている.また,超音波内視鏡も局在診断に非常に有用である.インスリノーマの外科手術は容易ではないので,正確な局在診断が不可欠であり,上記の方法を用いて十分な情報を提供する.
 さらに,画像診断で局在が明らかにできなかった場合や,複数の腫瘍の存在が疑われる場合に,選択的動脈内カルシウム注入試験を行う(図13-2-34).これは,血管造影とともに行えるため,さらに得られる情報が豊富となる.インスリノーマの細胞は,正常β細胞と異なり,細胞表面にカルシウム受容体を発現しているため,カルシウムに鋭敏に反応する.そこで,血管造影に続いて,胃十二指腸動脈,脾動脈,上腸間膜動脈,固有肝動脈に選択的にカテーテルを挿入し,グルコン酸カルシウム液を注入し,肝静脈から静脈血を20~30秒ごとに採血して,インスリン値を測定する.腫瘍が当該動脈の支配域に存在すれば,基礎値の2倍以上にインスリン値が上昇する(Guettierら,2009).
治療
 外科手術が基本である.内視鏡的核出術も最近ではよく行われる.インスリノーマに対する薬物治療は,外科手術の待機中あるいは外科手術が不可能な症例に考慮されるべきである.薬物としては,ソマトスタチンアナログであるオクトレオチド(Vezzosiら,2005)とランレオチド,ならびにインスリン分泌に不可欠なATP依存性カリウムチャネルに作用するジアゾキサイドがある.ソマトスタチンアナログは,ソマトスタチン2型受容体を介して,インスリン分泌を抑制することが多いが,インスリノーマの中にはソマトスタチン受容体を発現していないものもあり,その場合には無効である.
低血糖症の鑑別診断
 以上に述べてきたインスリノーマを含む低血糖を呈する疾患の鑑別診断を以下に記す(図13-2-35).低血糖患者をみたら,インスリンとC-ペプチドの測定を行う.インスリンが高値で,C-ペプチドが低値であれば,外因性のインスリンによる可能性が高い.詐病の可能性も考慮する.
 インスリンもC-ペプチドも高値であれば,次に抗インスリン抗体を測定する.抗インスリン抗体が陽性であれば,インスリン自己免疫症候群の可能性が高い.陰性の場合,入院のうえ,48~72時間の絶食試験を行う.前記のように,高インスリン血症を伴う低血糖が認められれば,インスリノーマを強く疑い,その局在診断に移る.絶食試験で陰性であった場合は,反応性低血糖である場合が多い.血糖が上昇しやすい単純糖を含む食品の摂食を控えさせ経過を観察する.α-グルコシダーゼ阻害薬が有効なこともある.
 低血糖発現時のインスリン値が低値であった場合,血糖を上昇させるコルチゾール,カテコールアミンやグルカゴンの分泌不全をきたす疾患の可能性を考慮し,これらの測定を行う.これらの内分泌系に異常がない場合には,腫瘍関連低血糖を疑いIGF-2の検索を行う.[石原寿光]
■文献
Guettier J-C, et al: Localization of insulinomas to regions of the pancreas by intraarterial calcium stimulation: The NIH experience. J Clin Endocrinol Metab, 94: 1074-1080, 2009.
Hirshberg et al: Forty-eight-hour fast: the diagnostic test for insulinoma. J Clin Endocrinol Metab, 85: 3222-3226, 2000.
Vezzosi D, Bennet A, et al: Octreotide in insulinoma patients: efficacy on hypoglycemia, relationships with Octreoscan scintigraphy and immunostaining with anti-sst2A and anti-sst5 antibodies. Eur J Endocrinol, 152: 757-767, 2005.

出典:内科学 第10版
©Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は原書刊行時(2013年)の時点での最新のものです.常に最新の内容であることを保証するものではありません。また,権利関係の都合で一部表示できない図や画像があります。

インスリノーマ」の用語解説はコトバンクが提供しています。

インスリノーマの関連情報

他サービスで検索

「インスリノーマ」のスポンサー検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE GROUP, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.