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アジサシ【アジサシ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

アジサシ
(1) Sterna hirundo; common tern チドリ目カモメ科。全長 31~35cm。夏羽(→羽衣)の頭上は黒く,背と上面は灰白色,尾も灰白色で深い燕尾形。胸から腹は白い。冬羽は額が白く後頭が黒い。北極圏を除く北アメリカユーラシア大陸の温帯から冷帯で繁殖し,南半球のオーストラリアアフリカ南部,南アメリカに渡って越冬する。日本では春と秋に旅鳥(→渡り鳥)として河口の干潟や海岸などに群れをつくって渡来する。東京都兵庫県などで繁殖例がある。河川や湖沼,海岸に生息し,水域の近くで繁殖する。停空飛翔をするか飛びながら魚を探し,水中に急降下してとる。
(2) Sterninae; terns, noddies チドリ目カモメ科アジサシ亜科に分類される鳥の総称。全長 23~60cm。12属 45種からなる。カモメに比べて体が小さくほっそりした種が多い。も細くて先が鋭くとがり,翼も幅が狭く細長い。尾は燕尾形のものが多い。熱帯から亜熱帯に繁殖分布する種が多いが,北半球の高緯度地域や南極大陸で繁殖する種もある。極地や温帯で繁殖する種の多くは越冬に長距離の渡りをする。最も長い距離を移動する鳥の一種として知られるキョクアジサシは,北極から南極まで往復し,その距離 7万~8万kmに及ぶ。いずれも集団繁殖し,多くの種は空中から水中に急降下して小魚をとるが,ハシグロクロハラアジサシ Chlidonias niger やハジロクロハラアジサシ C. leucopterus などは湿地にすみ,飛びながら昆虫類をとる。日本には 20種の記録があり,そのうちエリグロアジサシクロアジサシコアジサシベニアジサシオオアジサシセグロアジサシ,マミジロアジサシ Onychoprion anaethetus,ヒメクロアジサシ Anous minutus,シロアジサシ Gygis alba などが繁殖している。(→ハサミアジサシ

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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ダイビング用語集

アジサシ
太平洋域に広く分布するカモメ科の海鳥で、国内はもとより海外へダイビングに行った際には頻繁に目にするはずの小型の白い鳥。名前の通りアジなどの魚を主食としている。

出典:ダイビング情報ポータルサイト『ダイブネット』
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日本大百科全書(ニッポニカ)

アジサシ
あじさし / 鰺刺
tern
広義には鳥綱チドリ目カモメ科アジサシ亜科に属する水鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。アジサシ亜科Sterninaeはカモメ類と近縁であるが、それより小さめで、グループとしてはほぼ全世界に分布する。暖熱帯域に分布の中心があり、カモメ類がおもに冷温帯域に分布するのと対照的である。アジサシ類は小さめの体に、先のとがった長い翼、深く切れ込んだ尾、水かきのあるごく短い足をもっている。嘴(くちばし)はおおむねまっすぐで先細である。翼をゆっくりと力強く羽ばたき、体をふわふわと浮かせるように飛翔(ひしょう)する。多くの種は海や湖沼の静かな水域の上を飛びながら表層の魚を捜し、みつけるとすばやく羽ばたき、体を空中に浮かせ、ねらいをつけてから水面に突入し魚をとらえる。この採餌(さいじ)方法が名前の由来であろう。カモメ類は海岸に打ち上げられた魚や漁業廃棄物を食べるが、アジサシ類は生きた魚しか食べない。また、海面に降りることはめったになく、流木とか浮いている海藻に止まり、海岸の砂地や干潟(ひがた)に降りる。[長谷川博]

種類

世界に40種近くいて、大きく3グループに分けられる。その第一は30種以上を含むアジサシ属Sternaである。全長23~52センチメートル、全身は灰白色のものが多く、頭部の上半分だけが黒いのが特徴である。島や海岸の開けた砂地や砂礫(されき)地、あるいは内陸部の大きな湖沼、河川の周辺で集団をなして繁殖する。種としてのアジサシS. hirundoは全長35センチメートル、ユーラシアの広い地域と北アメリカ東部で繁殖し、冬季に暖熱帯地方沿岸に渡る。渡りのとき、日本の海岸や内湾でよくみられる。北極を取り巻くツンドラ地帯で夏季に繁殖するキョクアジサシS. paradisaeaは、もっとも長距離の渡りをする鳥の1種で、繁殖のあと沿岸を南に移動し、南極に近い海域まで渡って越冬し、ふたたび北上して繁殖する。ベニアジサシS. dougalliiは暖海沿岸地方で繁殖し、エリグロアジサシS. sumatranaは暖熱帯地方の沿岸や島で繁殖する。コアジサシS. albifronsは世界の温熱帯地方の海岸や内陸水系で広く繁殖する。体が比較的大形で、後頭部に短い羽冠のあるオニアジサシS. caspiaやオオアジサシS. bergii、サンドイッチアジサシS. sandvicensisなども沿岸や内陸湖沼にすみ、冬季に暖海地方沿岸に渡る。ベーリング海沿岸にすむコシジロアジサシS. aleuticaは冬季にもすこし南に移動するだけで、亜南極圏の島で繁殖するナンキョクアジサシS. vittataもあまり移動しない。ハシブトアジサシS. niloticaは足が長く体も大形で嘴が太く、カモメ類に似る。中国南部、オーストラリア、西アジア低地、ヨーロッパ、アメリカなどで局地的に繁殖する。この種は水に突入して餌(えさ)をとらえず、海岸や干潟で歩きながら餌をとらえる。日本にはごくまれに渡来するにすぎない。クロハラアジサシS. hybrida、ハジロクロハラアジサシS. leucoptera、ハシグロクロハラアジサシS. nigraの3種は内陸の沼沢地で繁殖し、水上に浮いている草の上に浅い巣をつくる。餌はトンボなどの昆虫がおもで、空中でとらえたり、水面に浮いているものや地面にいるものを低く飛びながらくわえ上げる。冬季には温暖な地方に渡る。日本では渡りのときに少数みられるか、ごくまれに渡来するのみである。外洋で生活し島で繁殖するものに、セグロアジサシS. fuscata、マミジロアジサシS. anaethetus、ナンヨウマミジロアジサシS. lunataなどがある。これらは海表面にいる魚類やイカ類、動物プランクトンを低く飛びながらくわえ上げ、海に突入することはない。セグロアジサシはもっとも外洋性の種類で、繁殖期に島に降りる以外は陸地に近づかず、海に降りることもほとんどなく、もっぱら海上を飛んで過ごしている。
 第二のグループは、全長27~41センチメートル、全身暗褐色で頭頂部のみが灰色、尾は燕尾(えんび)とならずくさび形となるクロアジサシ属Anousであり、5種に分類される。クロアジサシA. stolidusは暖海域にある島の岩棚(いわだな)や樹上に営巣する。島から遠い海域には出ず、おもに沿岸海域表層の魚類をとらえる。ヒメクロアジサシA. tenuirostrisも似た生活をする。ハイイロアジサシA. ceruleaは全身青灰色で、尾は浅い燕尾となる。太平洋中部の島で繁殖する。シロアジサシA. albusは特異な種で、羽色は全身白色だが綿ばねや皮膚は濃色。樹の枝や岩の背に直接1卵を産む。雛(ひな)の足づめが発達し、必要な場合にはそれを枝にひっかけてつり下がることもできる。
 第三のグループはインカアジサシLarosterna incaだけからなる。この種は全長41センチメートル、南アメリカ西岸のチリ、南ペルー沿岸の島で繁殖し、フンボルト海流沿岸の特産種である。岩の割れ目や穴に営巣し、1~2卵を産む。
 外洋性のアジサシ類やクロアジサシ類は1卵のみ産卵する。海岸や内陸湖沼で繁殖する多くの種は2~3卵を産む。雌雄が交代で抱卵し、3~5週間でかえる。雛は4~5週間で飛べるようになるが、水域の魚類をとらえるには高度な技術が必要であり、巣立ってからも親鳥の給餌(きゅうじ)を受けて生活し、しだいにひとり立ちしていく。[長谷川博]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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