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アイソトープ効果

法則の辞典

アイソトープ効果【isotope effect】
同位体効果*,以前は同位元素効果*とも呼ばれた.現在ではカタカナのままで使われるケースが増加している.分野によっていくつかの別の意味に用いられる.

(1) (超伝導) 超伝導状態が得られる臨界温度(超伝導転移温度)Tc は,典型元素の場合その超伝導体を構成する金属イオンの質量の平方根に比例する.したがって同位体によって超伝導転移温度に差が生じてくる.

(2) (原子のスペクトル) 発光スペクトルにおける輝線の微細構造は,原子内の個々の電子の軌道角運動量とスピン角運動量によって説明できる(ゼーマン効果*)が,さらに細かい分裂(超微細構造)は原子核のスピンと原子核の質量すなわち「核子数」の両方に依存することが判明した.このうち原子核の質量による影響のことを,スペクトルにおける同位体効果と呼んでいる.

(3) (分子のスペクトル) 分子の振動回転スペクトルにおいて,結合している両原子の換算質量が振動数に影響する場合に出現する.たとえばC-H伸縮振動とC-D伸縮振動の違いなど.

(4) (拡散) グレアムの法則*によると,噴散速度には分子質量の平方根に比例する.したがって同位体による差が現れ,実際に六フッ化ウランを用いてウランの同位体分離がマクロスケールで行われている.

(5) (化学反応) 同位体は核外電子数が等しいので,化学反応性については差がないはずである(もともとの定義)が,実際にはきわめて微少ながら差が認められることもあり,自然界において同位体組成にかなりの差が認められる元素もある.クロマトグラフィーなどでこのプロセスを多段階重ねることによって同位体分離を行うこともある.

(6) (生体代謝) さまざまな生物種は,代謝様式の違いのため,天然にある炭素や窒素,硫黄などの安定同位体の存在比にわずかながら影響を及ぼす.これが生物による同位体効果である.もちろんその差異は微々たるものであるが,原子量の有効数字がこのために影響を受けるほどにもなる.これを利用して古代人の食生活を探索したりする試みがすでになされている.水素と重水素の場合には,もっと大きな影響があると考えられるが,通常の場合は交換速度が速いためあまり問題とならない.

出典:朝倉書店
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