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おます【おます】

大辞林 第三版

おます
〔「おまらす」の転〕
( 動四 )
人に物を与えるの意の謙譲語。差し上げる。 「長右衛門もひだるかろ、お絹、早う飯を-・しや/浄瑠璃・桂川」
(補助動詞) 動詞の連用形に「て(で)」を添えたものに付いて、他人のためにしてあげる意の謙譲語として用いられる。…してさし上げる。 「其の儀ならば手を取つて-・さう/狂言・不聞座頭 虎寛本
( 動下二 )
に同じ。 「なにがな-・せうやれ/狂言・入間川」
(補助動詞)
に同じ。 「工みを隠して-・するが/浄瑠璃・大内裏大友真鳥」

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

おます
( 動サ特活 )
ある、いる、の意の丁寧語。ございます。あります。 「おつれでも-・すかいな/滑稽本・膝栗毛 5
(補助動詞) 形容詞の連用形、助動詞「で」などに付いて、丁寧の意を表す。…(で)ございます。 「そりやおうれしう-・すわいな/滑稽本・膝栗毛 8」 〔 (1) もと、近世、大坂新町の遊女言葉。文政(1818~1830)以降、一般女性語となり、さらに男性も用いるようになった。現在は関西地方などで用いられる。 (2) 打ち消しの形「おません」は、文政以降「おまへん」となった〕

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デジタル大辞泉

おま・す
《「おまらす」の音変化》
[動サ四]
与える、の意の謙譲語。差し上げる。
「二人の衆にも酒―・せ」〈浄・博多小女郎
(補助動詞)…してあげる、の意の謙譲語。
「御機嫌を直す囃子物を教へて―・さうかといふ事ぢゃ」〈虎寛狂・末広がり
[動サ下二]
1に同じ。
「何ぞ―・せたいものぢゃが」〈虎寛狂・入間川
(補助動詞)2に同じ。
「今生未来の晴れの月額(さかやき)、母が剃(そ)って―・せうぞ」〈浄・兜軍記

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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おま・す
[動サ特活]
ある」「居る」の丁寧語。あります。ございます。
「お母はんの旦那が―・す」〈宇野浩二・苦の世界〉
「このふけのとれることが―・すがな」〈滑・膝栗毛・五〉
(補助動詞)…である、の意の丁寧語。
「ややこし―・すな」〈上司・鱧の皮〉
「あなたのそのなりは、何で―・すぞいな」〈滑・膝栗毛・八〉
[補説]近世大坂新町の遊女ことばに始まるが、文政(1818~1830)ごろには一般女性語となり、のちには男性も用いた。現在は京阪地方などで用いられる。なお、打消し形「おません」は、文政以降「おまへん」の形をとるようになった。

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精選版 日本国語大辞典

おま・す
〘自サ特活〙
[一] 「ある」「いる」の意に当たる丁寧語。あります。ございます。〔洒落本・虚実柳巷方言(1794)〕
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)八「ハテ、御ゑんりょはおませんわいな」
[二] 補助動詞として用いる。「である」の意に当たる丁寧語。(で)ございます。
※洒落本・南遊記(1800)三「どうやら仏のない堂へ参たやうにおました」
[語誌](1)語源ははっきりしないが、「御座ります」が「おざります」となり、これから変化したものか。寛政ごろ大坂新町の遊郭で通行していた遊女語であったが〔洒落本・虚実柳巷方言〕、文政ごろ(一八一八‐三〇)から一般町人の言葉デヤスを凌駕して用いられるようになるが、丁寧語としてのオマスの品位は低かった。
(2)元来、四段に活用したが、現在はオマシ、オマスの形だけで、オマヘン、オマシタ、オマス、オマッサカイニ、オマスヤロのように使われ、さらにオマと縮められることがある。

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おま・す
(「おまらす」の変化した語)
[1] 〘他サ下二〙
[一] 人に物を与える意の謙譲語。与える先方を敬っていう。さしあげる。
※虎寛本狂言・入間川(室町末‐近世初)「何ぞおませたいものじゃが」
[二] (動詞の連用形に助詞「て(で)」の付いた形に付いて) 補助動詞として用いる。自分から他人に「してあげる」意を表わす謙譲語。(て)さしあげる。
※雲形本狂言・胸突(室町末‐近世初)「夫ならば皆ゆるしておませうぞ」
[2] 〘他サ四〙
[一] (一)(一)に同じ。
※狂言記・伯母が酒(1660)「此あたりにめでたいおしゅくらうがあったによって、はつ酒をおましたわいの」
[二] (一)(二)に同じ。
※虎寛本狂言・末広がり(室町末‐近世初)「御機嫌を直す囃子物を教へておまさうかと言事じゃ」
[語誌](1)もとサ行下二段に活用したが、江戸中期以降に四段活用例も現われる。しかしその後は衰微していく。→「おまらす」の語誌。
(2)「貞丈雑記‐一五」には「人に物を進ずる事をおませると云は御参らせると云略語なり」とあって下一段化したとみられる「おませる」を用いている。

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